用語集

ISO (International Organization for Standardization)
 国際標準化機構。

移行(migration)
 材料の成分の一部(可塑剤など)が、接触するほかの材料に拡散、浸透する現象をいう。 シーリング材が原因で、接触する仕上塗材などが変色する場合があるが、この現象によることがある。

1次シール (primary seal)
 ダブルシールジョイント構法における接合部の構成要素の一つで、屋外側のシールの総称。

1成分形シーリング材 (onercomponent sealant)
 あらかじめ施工に供する状態に調製されているシーリング材。1液形と呼ぶこともある。

ウエザーメーター(weather meter)
 屋外での暴露条件の一部を促進して与える試験装置で、材料に紫外線照射と、散水を周期的に繰り返して与えることが出来る。

ウエザリング (weathering)
 屋外において日光、雨雪などの自然条件を受けて時間の経過に伴って生ずる材料の物理的・化学的性質の有害な変化をいう。

打継ぎ目地 (juncture joint)
 コンクリート打設作業を計画的に中断するために生ずるコンクリート構造体の継目をいう。この部分はあとでシーリング材を充填するために、コンクリートの打設時、適当な溝(目地)を形成しておく。

エキスパンションジョイント (expansion joint)
 建築物の構造体及び部材のムーブメントを吸収する目的で設けられるジョイントを いう。伸縮目地もいう。

SSG 構法 (structural sealant glazing system)
 米国で開発されたガラスカーテンウォール構法。ガラスに加わる風圧力を、ガラス裏面周囲と室内側の方立(パックマリオン)間に充填したシリコーン系の構造用シーリング材によって接着して支持する構法。1辺~4辺SSG構法がある。

SDS (Safety Data Sheet)
 安全データシート。化学品の安全な取扱いと環境を守る目的で、物質名や成分情報、危険有害性の要約、取扱い上の注意、緊急事態の対応方法など製品に関する必要不可欠な情報を記載した資料。従来はMSDS (MはMaterialの頭文字)と呼ばれていたもので、近年は国際的にSDSの呼称に移行している。

エフロレッセンス (エフロ)(efflorescence)
 石材、コンクリート、レンガの表面に晶出した白い結晶をいい、セメント中の石灰等が水にとけて表面にしみ出し、空気中の炭酸ガスと反応してできたものである。

エマルション(emulsion)
 水にポリマーの微粒子が乳状に分散している状態のものをいう。この微粒子がゴムの場合は一般にラテックスといわれる。 1成分形アクリル系シーリング材はエマルションからなる。

MSDS (Material Safety Data Sheet) → SDS


オープンジョイント(open joint system)
 屋外側を開放または半開放とし、室内側のウインドパリアに気密性の機能を持たせる構法をオープンジョイント構法という。

オープンタイム(open time)
 接着剤を被着体に塗布してから、もう一つの被着体を接合する適切な時間の範囲のことをいう。シーリング材の施工では、プライマー塗布後シーリング材を充填して、シーリング材と被着体との間で良好な接着性が得られる時間の範囲をいう。

応力(stress)
 物体に外力を与えた時、その原形を保つために抵抗しようとする力。引張り方向に特定の伸びを与えた時、元の形に戻ろうとする力を引張応力と呼びモジュラスともいう。

応力緩和(stress relaxation)
 材料を一定の変形状態(破壊歪みより小さい)に保つと、元の形に戻ろうとする力(応力)が働くが、その力が時間と共に低下する現象をいう。たとえば、ゴム紐が使っている間にゆるむのはこの現象である。

応力緩和形シーリング材
 応力緩和の特性を持つシーリング材。経年変化で収縮する被着体(窯業系サイディングなど)に適したシーリング材。

応力ー伸び(歪み)曲線(stress-strain curve)
 材料に外力を加え、歪みが生じた時、その応力と歪みとの関係を示す曲線。シーリング材では、引張応力ー伸び(歪み)曲線が多く用いられる。

屋外暴露試験 (outdoor exposure test)
 自然条件下での性能の変化を調べるため、材料を屋外に露することをいう。南面に30°~45°の傾斜の架台を設けて放置させることが多い。シーリング材の試験において、ムーブメントを与えながら暴露することを動暴露試験と呼んでいる。

押出し性 (extrusion)
 シーリング材をガンで施工する際の押出し易さをいう。現場施工では、シーリング材の施工性に関係する。

押出成形セメント板
 所要の形をした金型から、セメント配合物を押出し、成形された板をいう。

汚染性(staining)
 シーリング材が、充填した目地周辺を活すことをいう。

オリゴマー (oligomer)
 モノマーの連結する単位が比較的小さい低重合体をいう。

温度ムーブメント (thermal movement)
 目地構成部材の温度変化によって接合部や目地に生ずる挙動またはその量。

界面破壊→接着破壊


架橋(crosslinking)
 線状のポリマーを、ある間隔で相互に結合することをいう。一般的には架橋剤(硬化剤)を加え、化学的に結合させる。シーリング材の場合には、架橋によって網目構造になりゴム状物質になる。

拡幅再充填工法
 シーリング改修工法の一つ。既存の目地幅が不足している場合、目地幅を拡大して新規にシーリング材を充填する工法。

笠木(coping)
 手摺、場、屋上パラベットなどの最上部に取り付けられる水平材。

可使時間(working time、pot life)
 2成分形シーリング材の基剤と硬化剤を練り混ぜた後、作業が出来る時間の範囲をいう。

ガスケット (gasket)
 合成繊脂または合成ゴムを特殊な断面形状に押出し形した定形シーリング材をいう。

可塑剤(plasticizer)
 プラスチックやゴムに柔軟性を与えるために加えられる液状物質。

硬さ(hardness、 durometer)
 一般に材料の硬さの程度(硬度)をいう。シーリング材の硬さの測定には、タイプAデュロメータ〔JISK 6253〕が多く用いられる。

カーテンウォール (curtain wall)
 広義では「構造体とは独立した外壁(帳壁)」という定義がなされ、構造耐力を負担しない壁体をいう。カーテンウォールパネルは、金属系のものとセメント系(PCa板)のものに分けられる。

カートリッジタイプ(cartridge type)
 1成分形シーリング材の製品形態の一つで、カートリッジガンに装着し、そのまますぐ施工出来るタイプのもの。カートリッジにはプラスチック、アルミニウム、紙製のものがある。

加熱減量 (loss on heating)
 シーリング材を一定の温度と時間で加熱した時の重量減少の程度をいう。

カラーマスター → 着色剤


加硫(vulcanization)
 ゴムの架橋のことをいう。ゴムの架橋では、架橋剤に通常、硫黄や硫黄化合物を加えるのでこのように呼ばれる。架橋剤はこれ以外のものや、何も加えない場合もあるが、その場合でも加硫という。

乾式工法(dry construction method)
 施工工程に水や溶剤などの液体を使用しない工法をいう。

基剤(base compound)
 2成分形シーリング材において一般に主成分を含む配合物をいう。主剤と呼ばれることもある。

逆プライマー
 シーリング施工後の塗装時に塗料の密着を向上させる目的で使用するプライマーをいう。

凝集破壊(cohesive failure)
 シーリング材の破壊状態の一つで、シーリング材自身が破壊した場合をいう。材料破壊ともいい、試験表などではCFという記号が用いられる。

亀裂(crack、cracking、crazing)
 内部の応力または、外部の諸条件によって材料に生じたひび割れをいう。

裂(ひび割れ)誘発目地(control joint)
 外壁のコンクリートにおいて、有害な裂が発生することを防止するために意図的に設けられる目地。一定間隔に壁の薄い箇所(目地)を設け、裂を集中的に誘発させる。防水性を確保するためこの部分はシーリング材を充填しておく。

クリアランス (clearance)
 建築部材や部品が取り合うすき間をいう。

クリープ (creep)
 材料に一定の外力を与えると瞬間的に弾性変形を生じるが、次いで時間と共に変形(塑性変形)が増大する現象をいう。

グレイジング (glazing)
 ガラスをはめ込み固定すること。ガスケットやシーリング材が用いられる。

クレージング (crazing)
 ウエザリングなどによって生じた表面の細かい亀甲状のひび割れをいう。

形状係数(shape factor)
 シーリング材の充填深さを目地幅で除した値(D(深さ)/W(幅))をいう。

硬化 (cure)
 シーリング材が液状またはペースト状からゴム状態に移る不可逆的な変化をいう。

硬化剤(curing agent)
 一般的には熱硬化性劇脂に添加して加熱などの処理で硬化状態にする物質のこと。 2成分形シーリング材では、基剤と混合するもう一方の配合物のことで、架橋などの化学反応を起こさせる成分を含む。

硬化収縮ムーブメント
 目地構成部材の材料の硬化に伴う収縮によって接合部や目地に生ずる挙動またはそ の量。

構造スリット
 大きな地震が発生した際に、RC(鉄筋コンクリート)造建築物の柱や梁が破壊しないように、柱や梁と非耐力壁の間に応力が集中するように設けた隙間・目地のこと。 完全スリット、耐震スリットともいう。

コーキング材 (calking compound、 caulking compound)
 油脂・合成繊脂などと鉱物質充填材を混ぜて製造される。表面は硬化して皮膜を形成するが、内部は固まりにくい。シーリング材全体がコーキング材と呼ばれたこともあるが、コーキング材といえば、現在は油性コーキング材に限定している。ムーブメントのほとんどないジョイントに用いられる。

再充填工法
 シーリング改修工法の一つ。既存のシーリング材を適切な方法で除去し、新規にシーリング材を充填する工法。

サイディング
 語源は、”SIDING”(木材家屋の側面を覆う板または材料:boards or other materialused to over the SIDE of wooden building、 J. R. Shaw著、英々辞典)にあるが、わが国では窯業系サイディングに代表される。主として戸建住宅を対象とした一群の外壁材を意味している。

皿板 (sill)
 窓の下枠の外部下端に取り付ける水切りをいう。

3面接着(three -sided adhesion)
 目地にシーリング材を充填する場合、相対する被着面と目地底の3面に接着させることをいう。ノンワーキングジョイントの場合は3面接着の方が防水性能が良い。 耐アルカリガラス繊維でセメントモルタルまたはセメントペーストを補強した複合材料の呼び名をいう。

CFRC(炭素繊維補強コンクリート)(carbon fiber reinforced concrete)
 アクリル繊維などを高温で熱処理し、炭素化した繊維をコンクリートに混入したもので、特性として軽量で、曲げ強さが大きい。

指触乾燥時間(skin over time)
 シーリング材を充填後、硬化が進んで表面に触れても指に付着しなくなるまでの時間をいう。[JIS・A 1439:2016〕

JIS (Japanese Industrial Standards)
 日本産業規格の略称。

湿気硬化形シーリング材(moisture -cure type sealant)
 空気中の湿分と反応して、表面から硬化するシーリング材をいい、シリコーン系、シリル化アクリレート系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、アクリルウレタン系、ポリウレタン系の1成分形がこれにあたる。

湿式工法(wet construction method)
 現場で土、しっくい、プラスター、モルタル等の水によって凝結、固結する材料を使用して、主体工事や仕上工事を行う工法をいう。

湿気(湿度)ムーブメント(moisture movement、 dry-wet movement)
 目地構成部材の含水率の変化に起因する伸縮によって接合部に生じる挙動またはその量。

JASS (Japanese Architectural Standard Specification)
 日本建築学会建築工事標準仕様書の略称。

収縮 (contraction, shrinkagg)
 材料が熱などによって縮む程度をいう。シーリング材では充填後、成分の一部が揮発して体積収縮することをいい、「やせ」と呼ばれることもある。

充填材(filler)
 プラスチックやゴムの強度、作業性、耐久性、経済性などを改善するために加える物質。炭酸カルシウム(炭カル)などは代表的な充填材である。

シーラー(sealer)
 ために用いる材料をいう。(ロ)窯業系サイディングの小口に防湿を目的として用いられる材料をいう。

シーリング材 (sealing compound、sealant)
 建築・土木・自動車等の構造体の部材相互間や接合部に防水その他の目的で使用される充填材料のこと。使用目的によって種々の形状・性能のものがある。本ハンドブックでは、JIS規格の「建築用シーリング材」を対象としている。

シングルシール (single sealed joint system)
 水密性と気密性を一つのシール材だけで確保する方法。シングルシールを用いた水。 密接合構法をシングルシールジョイント構法という。

伸縮率(設計伸縮率)(designed movement capability)
 一般に、伸縮幅を伸縮前の目地幅で除した値で、百分率で表す。JASS 8では、耐久性区分やシーリング材の種類によって、そのシーリング材が長期間にわたって追従できる目地の伸縮率の標準値を設計伸縮率として定めている。

水系塗料
 水を溶媒とした環境対応形の塗料。

ストレスクラック (stress crack)
 プラスチック成形品にシーリング材やプライマーを接触させると、シーリング材やプライマーに含まれる溶剤や可塑剤が成形品に浸透して、接触した箇所のポリマー分子鎖が動きやすくなり局部的に変形しやすくなる。その状態で成形品に残留ひずみが存在すると、変形しやすくなった部分でひずみが急激に緩和されクラックが発生する。このようにして発生したクラックをストレスクラック(またはソルベントクラック)という。

スパッタリング熱線反射板ガラス (sputtering heat reflective glass)
 グロー放電でガスイオンの衝突によって電極材料を放出させ、表面上に電極材料の金属膜をつくったガラスをいう。

スランプ (slump)
 シーリング材を垂直面の目地に充填した時、自重により垂れ下がることをいう。サギング(sagging)と呼ばれることもある。

接着破壊(adhesive failure)
 シーリング材の破壊状態の一つで、被着体とシーリング材が分離した場合をいう。 界面破壊、界面は<離、はく離とも呼ぶ。試験表などではAFという記号が用いられ る。

セルフレベリング(self-leveling)
 施工した材料が自然に水平になる流動性を有した性質をいう。

せん断変形率(shear transformation ratio)
 一般に、ずれ幅をずれ前の目地幅で除した値で、百分率で表す。JASS 8では耐久性区分やシーリング材の種類によって、そのシーリング材が長期間にわたって追従できる目地のずれ繰り返し変形率の標準値を定めている。

層間変位ムーブメント(seismic movement、relative story displacement movement)
 建築物が、風や地震等の影響により変形する時、上下の階に生ずる水平方向の相対的な変位をいう。

そぎ継ぎ(そぎ打ち)
 接合面を斜めにして接合する打継ぎ方法。スカーフ継ぎともいう。

塑性 (plasticity)
 材料に外力を加えた時、永久変形を生じ外力を除いても変形が元に戻らない性質をいう。硬化前のシーリング材にもこの性質がある。

塑性シーリング材 (plastic sealant)
 硬化後、当性的な性質を持つシーリング材。目地のムーブメントによって応力が生じない、または、生じた応力が早く緩和するシーリング材。

ソルベントクラック (solvent crack)→ ストレスクラック


耐アルカリ性(alkali resistance)
 材料がアルカリ性の物質に接触した際に、物理的・化学的に変化しにくい程度をいう。 特に、油性コーキング材ではコンクリート中のアルカリの影響による成分の変質に耐え、付着性の低下などを生じない程度をいう。

耐オゾン性(ozone resistance)
 材料がオゾン(3)を含む大気中にさらされ、その材料が物理的・化学的に変化しにくい程度をいう。

耐久性(durability)
 材料が用いられる環境下で、長期間にわたってその性能を保持し続ける程度をいう。

耐久性区分 (classification by durability)
 JIS A 5758(建築用シーリング材)に規定されているシーリング材の区分のひとつで、JIS A 1439(建築用シーリング材の試験方法)の耐久性試験に従い、試験時の圧縮加熱温度と圧縮加熱及び引張冷却時の変形率によって区分される。例えば、90°Cで圧縮変形率30%、-10°Cで引張変形率30%をクリアする材料は「9030」で表される。なお、建築用シーリング材の性能指標とはなるが、実使用上の耐用年数または寿命を表すものではない。

耐候性(weatherability)
 屋外において日光・雨雪などの自然条件を受けて、時間の経過にともなって生する材料の物理的及び化学的性質の有害な変化に対する抵抗の程度をいう。

耐光接着性(UV proof adhesion)
 ガラス面を透過する太陽光(紫外線)に耐える接着性。

耐震スリット→ 構造スリット


体積損失(lose of volume)
 硬化後のシーリング材の体積が、施工直後の体積よりも収縮していること。

耐用年数(service life)
 建物または建物の部分が使用に耐えなくなるまでの年数。

タックフリー(tack-free、tack-free time)
 シーリング材を充填後。硬化が進んで埃などが付着しなくなるまでの時間。(参考: 指触乾燥時間)

ダブルシール (double sealing system)
 水密性と気密性を1次シールと2次シールの二つのシール材で確保する方法。浸入した雨水が2次シールまで達しにくくする排水機構を持つ構法と排水機構のない構法がある。ダブルシールを用いた水密接合構法をダブルシールジョイント構法という。

弾性シーリング材(elastic sealant)
 硬化後、弾性(変形したものが元に戻ろうとする)的な性質を持つシーリング材。目地のムーブメントによって生じた応力がひずみにほぼ比例するシーリング材。

弾性吹付タイル
 吹付塗膜がゴム状になっている吹付タイルをいい、塗膜の材質としてアクリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム等がある。

弾性復元性(elastic recovery)
 変形を与える外力を除いたとき、初期の形状及び寸法に戻ろうとするシーリング材

チクソトロピー(thixotropy)
 静置状態では変形しないが、せん断力を加えると一時的に流動しくなり、静置するとまた元に戻る性質をいう。シーリング材や塗料の施工はこの性質を利用してい る。

着色剤(toner)
 着色を目的に添加するペースト状の材料をいう。従来は2成分形シーリング材の基 剤もしくは硬化剤に着色していたものを最近は別に添加することが多い。(カラーペースト、トナーと呼ぶ場合もある)

チョーキング (chalking)
 シーリング材の劣化現象の一つ。シーリング材表面が粉状になる現象。自亜化ともいう。

点支持構法
 欧州で開発されたガラスカーテンウォール構法。サッシ枠に類する長尺の金物を用いず、四隅に穴を開けた強化ガラス板の穴部分にコネクターを通し室内側の金物と緊結して壁面を構築する構法。

トナー → 着色剤


ナイロン研磨布
 ナイロン製の研磨用具で、シーリング材の接着力向上の目的で被着体の目粗しに使用するものをいう。

2次シール(secondary seal)
 ダブルシールジョイント構法における接合部の構成要素の一つで、室内側のシールの総称。

2成分形シーリング材(two-component sealant)
 施工直前に基剤と硬化剤を調合し、練り混ぜて使用するシーリング材。着色剤を用いるタイプが多い。2液形と呼ぶこともある。

2面接着(two-sided adhesion)
 目地にシーリング材を充填する場合、相対する被着面に接着させ、目地底には接着させないことをいう。と、これはシーリング材が目地の伸縮に自由に追従できるよう配 慮したものである。

ノンサグ(non-sag)
 シーリング材を垂直面の目地に充填した時、スランプを生じないことをいう。

ノンワーキングジョイント(static joint)
 ムーブメントが生じないか、あるいはきわめて小さいムーブメントが発生する目地をいう。RC造の打継ぎ目地、竜裂誘発目地、窓枠まわりなどがこれにあてはまる。

倍強度ガラス (heat strength glass)
 精度が高い熱処理工程により、同厚のフロート板ガラスの約2倍に耐風圧強度を高めた板ガラス。

薄層凝集破壊(thin layer cohesive failure)
 シーリング材の破壊状態の一つで、被着面にごく薄くシーリング材が残って破壊した場合をいう。試験表などではTCFという記号が用いられる。

はく離接着強さ(peeling-adhesive strength)
 シーリング村の試験方法の一つである簡易引張接着試験で、シーリング材を被着体表面に対し、0°~180°方向に引きはがした時の接着強さをいう。

バスタブ曲線(bathtub curve)
 単位時間内に故障を引き起こす割合を時間軸でグラフ化したもの。①初期故障②偶発故障③摩耗故障に分かれる。①+②が寿命(耐用年数)と考えられている。

バックアップ材 (back-up material)
 目地形状のシーリング材充填深さを調整し、また、3面接着を防止するため目地底に挿入する成形材料。通常発泡ポリエチレン製が用いられている。

はっ(撥)水汚染
 シリコーン系シーリング材から遊離したシリコーンオイルにほこりが付着し、目地周辺を汚染する現象をいう。シリコーンによる汚れが水をはじくことからはっ水汚染と呼ばれる。

パテ(putty)
 油脂・脂などを主成分として鉱物質充填材を練り混ぜて製造されたガラス用取付け材料。現在は用いられることが少ない。

バリアプライマー
 仕上塗材の汚染を防止するために、シーリング材の可塑剤などが仕上塗材に移行することを防止する目的でシーリング材の表面に塗布するプライマーをいう。

歪(ひず)み(strain)
 外力を与えたときの物体の変形の形状や、変形量(歪み量)のことをいう。

被着体(adherend、substrate)
 接着剤やシーリング材によって接合される物体のこと。実際上はこの被着体の表面の材質や性質が接着性に関連する。

引張接着強さ(tensile -adhesive strength)
 シーリング材の試験方法の一つである引張接着試験で、シーリング材を被着体表面に対し、垂直方向に引張った時の接着強さをいう。

ビヒクル(vehicle)
 元来は、塗料において顔料を分散させている液状物質のことであるが、シーリング材では充填材、顔料、その他の配合剤を分散させている粘稠な液体のことをいう。 また、液状展色剤、展色剤、伸展剤ともいう。

標準耐用年数(standard service life)
 標準的な仕様で、標準地域に施工された材料や部材または建物の耐用年数。

VOC (Volatile Organic Compounds)
 揮発性有機化学物質の総称。トルエン、キシレンなどの有機溶者やフタル酸エステルなどの可塑剤が該当する。

フィルドジョイント (filled joint system)
 雨水の浸入口となる接合部などをシーリング材またはガスケットで塞いで、水密性と気密性を確保する方法。フィルドジョイントを用いた水密接合構法をフィルドジヨイント構法という。

復元性 (recovery)
 材料に外力を与えて変形させ、一定時間経過した後その外力を取り除いた時、変形前の状態に戻る程度をいう。

付着
 一般的な概念はないが、材料の粘性のみで付いている状態をいう。シーリング材の場合は油性コーキング材などに付着という表現が用いられる。

ブライマー (primer)
 被着体とシーリング材との付着性、接着性を向上するためにあらかじめ被着面に塗布する液状の下地処理材料。シーリング材の施工には原則的に用いなければならな い。

ブリージング(blleeding)
 材料の一部の成分(可塑剤など)が分離して、にじみ出すことをいう。プリードということもある。

ブリッジ工法
 シーリング改修工法の一つ。既存のシーリング材をそのまま残し、その上に新規のシーリング材をブリッジ状に重ねて施工する工法。

プレポリマー (pre-polymer)
 ポリマーを形成する反応を、途中の段階で止めた低重合度のポリマーのこと。シーリング材にあてはめると、流動し易いプレポリマーの状態で硬化剤と混合して、ポリマーになるように反応させる。例えば2成分形ポリウレタン系シーリング材の基剤はプレポリマーである。

方立 (mullion)
 カーテンウォールの垂直方向及び水平方向(場合によっては斜め方向)の分割材で、一般に、窓、スパンドレルパネルなどに加わる外力を支持する材料をいう。

母材(被着体)破壊
 シーリング材を用いた目地部分で生じた破壊状態の一つで、被着体自身が破壊した場合をいう。

保油性 (oil retention)
 油性コーキング材の場合、油脂分が分離せず保持されることをいう。

ポリマー (polymer)
 モノマーが多数連続して形成される高分子量の物質のこと。木材・蛋白質等は天然のポリマーであり、シーリング材などゴム・プラスチックの多くは合成ポリマーからなる。

ボンドブレーカー(bond breaker)
 シーリング材を施工する際、3面接着を防止するため、被着体のうちで接着させない箇所に張り付けるテープなどをいう。

マスキングテープ(masking tape)
 施工中、充填箇所以外にシーリング材を付着させないで、シーリング材表面を通りよく仕上げるために用いる粘着テープ。施工後すぐ引きはがす。生テープともいう。

マスチック (mastic)
 シーリング材、接着剤などにおいて粘なペースト状のもの。シーリング材では充填後、内部硬化の進まないものをマスチックと呼んでいる。

豆板(rock pocket、 honeycomb)
 コンクリート打込み時に、セメントペーストのまわりがわるく粗骨材が部分的に集まった部分をいう。 見切り ある仕上げの未端の納まりをいう。

ムーブメント(movement)
 温度・湿度変化、風、地震、振動などによって建築部材に伸縮、ずれなどが生ずる時の動き、または、その程度をいう。温度・湿度によって生ずる動きを長期的ムーブメント、地震によって生ずる動きを短期的ムーブメントと分類している。

ムーブメント追従性
 目地のムーブメントに対してシール機能を維持するシーリング材の追従性能をいう。

無目(transom)
 窓、出入り口などの高さの中間に入る水平材をいう。一般に無目の上に入る建具を欄間という。

目透し張り
 ボード類等を張る場合、すき間を開けて張ることをいう。

モジュラス (modulus、secant modulus)
 物体にある変形を加えたときに生じる応力のこと。特にことわりがない場合は、引張応力を示すことが多い。シーリング材では、50%の伸びを与えた時の引張応力を50%モジュラスという。

モノマー(monomer)
 単量体のこと。原子あるいは分子から成り立っている一つの化合物の構造単位であって、これ自身または他の構造単位とが連結することによってポリマーを形成する構造のもの。例えばエチレン(モノマー)が反応によって連結し、ポリエチレン(ポリマー)になる。

陽極酸化 (anodizing、anodic oxidation)
 主にアルミニウム及びアルミニウム合金表面に、電気分解によって酸化アルミニウムの比較的厚い耐食性(着色を兼ねる場合もある)皮膜を形成させる表面処理法をいう。ビル用サッシはこの処理法のものが多い。シーリング材の接着性はこの表面処理法によって影響を受けることもある。

汚れ (staining)
 シーリング材に起因する汚れとしては、流下汚染(dit rundown)、汚れ付着(dirtpick-Up)、(表面/内部)漫透汚染(fluid-migration (out /into))、表面析出(blooming)、流液汚染(fuid-streaking)、かび発生(microbial growt)がある。 シリコーンで発生するはっ水染は、これらのうち部位によって流下活染、汚れ付着、浸透汚染の形態を示す。

ラテックス(latex) → エマルション


リファレンス耐用年数
 建築物またはその部分に期待される(または予想される)、ある特定の使用条件の細合せ(代表的な組合せ)のもとでの耐用年数。

劣化(degradation)・老化(aging)
 材料が種々の環境条件下で時間の経過に伴って、物理的・化学的に有害な変化を生することをいう。ゴムの劣化に関することは、特に老化(aging)という用語が用いられている。

ワーキングジョイント(working joint、 dynamic joint)
 目地にムーブメントが生じるものをいい、カーテンウォールの目地などがこれにあてはまる。




参考文献  日本シーリング材工業会発行 建築用シーリング材Q&A 110